ラブライブ! 都市伝説検証
【都市伝説】
現代の都市で、広く口承される、根拠が曖昧(あいまい)・不明な噂話(うわさばなし)。
はじめに
ラブライブ!という作品界隈には様々な都市伝説や逸話が存在します。
ネット社会全盛の影響もあるのでしょうが、曖昧な根拠やソースを元に事実として定着してしまうものはかなり多い今日このごろであり、その中でもラブライブ!は作品界隈も声優界隈もファン界隈も、かなりいい加減な根拠を元としながらも当たり前のように常識や事実として定着している話が多くあります。
今回はその中からガセネタ、または信憑性が確かでないまま当然の事実として定着していることが多い話をピックアップして、検証していこうと思います。
注①・・・なお、完璧に深くは検証できていないものもあるので、実は都市伝説の解釈の方が正しいという場合もあるかもしれません。
注②・・・なお、ファンは避けて通るタイプの話題であり、ある意味触れることがタブーに近いものもあります。声優関係の事件など。
ぼららら500枚
概要
ラブライブ!1stシングル『僕らのLIVE 君とのLIFE』の売上が約500枚(オリコン調べ434枚)だったという事件。
なお実際には声優の親が大人買いしていたことが分かっており、他にも声優本人や初期ファンにも大人買いしている者がいた可能性も高く、購買者数はさらに少ないとされる。
感想・考察
事実ではあるのですが、この売上枚数は2010年8月25日に一般販売された通常版CDの初動売上となります。
また、オリコン調べというのは実数とは差があること、ラブライブ!というコンテンツの知名度の上昇に伴って後で買い求めた人もいるので、実際の累計売上はもっと多いといえます。
また、コミックマーケット78(2010年8月13日~15日開催)において夏コミ限定版が先行発売されているため、通常版の購入者とかなり重複して可能性も高いですが、本当の総売上はさらに多いと見るのが自然です。
その事実をあまり考えずに、知名度が上がった後と比較するために昔は約500枚しか売れなかったというのが独り歩きしすぎている印象です。
Printempsイベントの80人
概要
高坂穂乃果・南ことり・小泉花陽(新田恵海・内田彩・久保ユリカ)のトリオユニット「Printemps」のCD発売を記念して行われたトーク&お渡し会イベントにおいて、内田彩が「ここに来た80人が絶対自慢できるようにしてみせるからね!」と発言したという話。
また、そこから当時ラブライブ!がまだ有名でなかったこともあり、「80人しか集まらなかったファンに対して内田彩が気丈に発言した」という方向でされた解釈。
感想・考察
イベントが行われたことと、参加者が80人だったのは事実なようですが、実際には先着80名で行われたイベントであり、何万人参加希望者がいようが80人しか参加できなかったイベントというのが真相です。
参加者のレポによれば、参加券は平日配布だったものの当日昼には配布終了しており、「そんなに人気あったの?」と当時のファンが驚いたぐらいだったようです。
にっこにっこにーポーズ の起源・由来
概要
TVアニメ版矢澤にこが決め台詞/自己アピール/合言葉の「にっこにっこにー」を言う際に用いる指の形の起源・由来は当然、矢澤にこだろうという思い込み。
感想・考察
ポーズの初出は片手ではありますが星空凛と西木野真姫で、本当に最初期に描かれています。
また、「にっこにっこにー」はTVアニメ後に定着したもので、初期の自己紹介や雑誌、漫画版などでは「にこにこにー」が優先されています。
しかし矢澤にこ役の声優の徳井青空さんはTVアニメ以前の「ラブライブ! μ's First LoveLive!」(2012年2月開催)の時点で、既に「にっこにっこにー」と挨拶しており、本来の「にこにこにー」よりも「にっこにっこにー」が優先されるようになった要因は声優からの逆輸入だったのかもしれません。
ちなみに、真姫と凛の次にこのポーズを行い、初めて両手でポーズをとっているのも矢澤にこではなく小泉花陽となっています。
にこが初めて「にっこにっこにー」ポーズの指の形をとったのもTVアニメ以前でしたが、真姫や凛、花陽が最初にポーズをとっているように、特に意味はない可能性が高いといえます。偶然1年生トリオというところが超解釈考察好きの人にとってはたまらないポイントかもしれませんが…。
「にっこにっこにー」ポーズ自体も「にっこにっこにー」が定着したTVアニメ前後に定着したものである可能性が高いと思われ、アニメ化発表を行ったイベントである「ラブライブ! μ's First LoveLive!」(2012年2月開催)で矢澤にこ役の徳井青空はうさちゃんピース(by道重さゆみ)のような格好で行っていました。
また、1期TVアニメ放映開始直前で、既にアニメ制作がかなり進んでいた時期であるはずの「μ's New Year LoveLive! 2013」(2013年1月開催)でも同様でした。
少なくともTVアニメ以前には「にこにこにー」または「にっこにっこにー」のポーズは定まってなかった可能性が高く、TVアニメ放送後に固まったものと思われます。
一方、鴇田アルミ先生作画の漫画版(2012年1月連載開始)では第1巻収録の第5話で「にこにー」という決め台詞と共に「にっこにっこにー」の指をやっています。(1巻初版2012年9月)
しかし、同じく第1巻収録の第7話では、「にこにーにこにーにこにこにー」という決め台詞ともに「」(かぎかっこ)みたいなポーズ(「もぎゅっと“love”で接近中!」の振り付けの引用?)で行っているので、どちらにしても当時のポーズは定まっていないと見られます。
その後、漫画版でもTVアニメ放送(2013年1月)の前後から原案準拠の「にこにこにー」よりアニメ準拠の「にっこにっこにー」を優先して使用するようになり、第2巻(初版2013年6月)収録の第10話では「にっこにっこにー」と共にポーズも「にっこにっこにー」のポーズになっています。
また、筆者は直接確認できていませんが、ラジオか何かで徳井さんがTVアニメでこのポーズが決まったと語っていたという話を聞いたことがあり、状況証拠と照らし合わせてもその可能性が高いと思われます。
つまり「にっこにっこにー」の起源も「にっこにっこにー」ポーズの起源もTVアニメ版、また声優を含むTVアニメ版スタッフによるものといえます。
glee盗作パクライブ
概要
TVアニメ ラブライブ!2nd Season 6話が海外ドラマgleeを盗作していたとされる事件。
感想・考察
ラブライブ!アニメ2期6話がgleeを盗作しているのは事実ですが、盗作やオマージュが行われたのは2期6話だけに限られた話ではないようです。
筆者が記事にした2期4話の他、各種演出やキャラクター設定、劇伴音楽などgleeを元に製作したり、改変したりしたものは他にもあり、監督の作品観に影響を強く与えており、TVアニメのラブライブ!作品全体に影響を及ぼしているといえます。
メイドカフェとミナリンスキー
概要
TVアニメ版ラブライブ!9話にて南ことりがバイトしているメイドカフェでの源氏名が「ミナリンスキー」というロシア風な名前の謎。
メイドカフェの定番の挨拶といえば「お帰りなさいませ、ご主人様」で、実際穂乃果と海未にメイド服を着せてメイドごっこをさせた時もそう発言させているが、作中で実際に客が来店した際には「いらっしゃいませ、お客様」と発言している謎。
感想・考察
都市伝説というよりは、あまり意味が共有されていない、話題にされることのない話かもしれません。
まずメイドの挨拶の方から先に触れることとします。
何故挨拶が「いらっしゃいませ、お客様」なのかという理由を調べると、どうやらメイドカフェのシーンは、秋葉原の有名メイドカフェ「CURE MAID CAFE」がモデルになっているようです。
CURE MAID CAFEではステレオタイプな萌え系のメイドカフェとは違い「いらっしゃいませ」という落ち着いた挨拶と雰囲気が特徴であり、メイドが萌え声を出しながらケチャップでオムライスにお絵かきする的なメイドカフェ特有のサービスなどもないようで、メイドカフェオタクでなくても気軽に行けるような雰囲気のようです。
つまり、そこをリスペクトしているからこその「いらっしゃいませ」だったと解釈するのが良さそうです。
一方で、そうなると結局「いらっしゃいませ、お客様」を言うのに、何故ことりは穂乃果と海未に「お帰りなさいませ、御主人様」をやらせたのかが不自然に思えます。
また、ことりがバイトを始めた時の回想でも客に直接「お帰りなさいませ」と挨拶しており、わけがわかりません。
それに、アニメスタッフはラブライブ!の原案設定をリスペクトする気はないのに、何故モデルとしたメイドカフェのことは不自然に尊重した描写をとろうとしたのかが不思議です。
そこは別に大事な要素でもないので普通に「お帰りなさいませ、ご主人様」を採用して良かったのではないかと思われます。
次に、「ミナリンスキー」という源氏名の謎に迫りたいのですが、残念ながら迫れるほどの噂も結論も持っていません。
TVアニメ放送当時も何故「ミナリンスキー」なのかは一部では話題になっていました。その時に曖昧なのですが、「メイド喫茶ではロシア風の源氏名をつける風潮がある」とか「メイド喫茶ではロシア風の源氏名が流行ってる」といったような解説をしている書き込みを見た記憶があります。その時は、「へーそうなんだ」と思ったのですが、後になって調べてみると、それらしき事実は全く出て来ませんでした。
ただ、まさにその記憶に合致した知恵袋の返答がありました。掲示板の書き込みとかだったような気がするのですが、これを見たことでそれを記憶していたのかもしれません。
これによれば「外国人ぽさを出す」源氏名が秋葉原のメイドには流行ってるということなのですが、「~スキー」という特徴的な源氏名どころか外国人風の名前をつける風潮の形跡すら殆ど見つからず、日本風の名前のメイドが多いという印象しか受けませんでした。どちらかといえば古風な日本風の名前の方が一時期流行ってたような形跡が見つかりました。
一方で、秋葉原を舞台としている人気作品の1つ「STEINS;GATE」(2009年発売)ではメイドカフェでフェイリス・ニャンニャンという源氏名を用いるキャラクターが登場しており、一応外国人風の名前と見ることができ、秋葉原のメイドが外国人風の源氏名をつけることが珍しくない証拠の1つとして挙げることができるかもしれません。
しかし、作中のメイドカフェのモデルとなっているCURE MAID CAFEは先述の通り、萌えメイドカフェ定番の挨拶すら採用していない硬派なメイドカフェですから、店員がロシア風の源氏名などつけているわけもありません。源氏名すら無いと思われます。
したがって、挨拶にしても源氏名にしても意図や意味を推測しようと思えば思うほど矛盾が矛盾を呼び、意味が分からないというのが結論となります。こわい。
ラブライブッ!
概要
ラブライブ!声優の一人がデビュー以前に出演していたとされる実写映像作品において、出演中に放屁したといわれる事件。
感想・考察
一般的に考えてこの類の話題というのは大抵は分かりやすいデマや激似ネタなので、基本的には冗談半分で当時立っていたスレッドを覗いてみたら、分かりやすく本人らしさ全開の映像や音声だったこと、またある意味で期待と異なる方向のメンバーだったことで性的な意味でというよりはギャグ方面での炎上になった影響で生まれたデマの可能性が高いと思われます。
その炎上の中で様々なデマを付け足して尾びれがついた結果定着したものの一つが、この出演時、行為中に放屁したという噂です。
筆者自身動画を見てないので確実とは言えませんが、当時も実際ガセネタという検証がされていながら、面白がる方を優先して聞く耳持たずで、本当に放屁したという方向でネタにしようという形で定着してしまった話でしょう。
ホスト通い
概要
TVアニメラブライブ!2nd Season放映直前の頃に、μ's声優の一人の元彼氏を名乗るホスト・ニコ生配信者が自身の放送にて過去の交際関係を暴露した事件。
また、その配信者がホストクラブに勤めていることから、ホスト通いしホストに貢いでいた、ホスト狂いだったという噂話。
感想・考察
この件は当時2期放送直前ということもあり話題になっていたので、筆者はその例の配信者の生放送を見てみました。すると、既に派手な暴露話は終わった後だったのか、割と落ち着いた思い出話を語っていました。
それによれば、この交際当時にこの配信者の元彼はホストではなく、ほぼニートでパチンコで生計を立てながら同棲していたようなことを語っていました。ヒモみたいな形ではあるものの、一方で「パチンコで、私がバイトで稼いだ給料よりも稼いじゃうんだね」みたいなことを悲しげに言われたことがあるらしいです。
貢いでたというのは半分正解かもしれませんが、交際当時は彼がホストではないので、ホスト通いしてたというのはガセですね。
別のホストクラブに通ってたかどうかや別のホストに貢いだことがあるかは知りませんが…。また、将来的に声優など芸能関係の仕事を考えていた影響もあるのか、金がなくても水商売のバイトはやらないと言ってたそうです。
調べてみると、情報が色々と拗れていった結果、その配信者が「ホスト通いしていた」ことを暴露したという説にまで発展している解釈もありましたが、騒動当時の情報を見る限りそういう発言をした事実はなさそうです。
交際自体に関してはラブライブすら始まったかどうかという新人の頃から昔の友達が声優になったみたいな形でSNSで紹介しており、掲示板サイトで交流したような形跡が見つかっていること、本名についても昔から知っていることなどから少なくとも知人以上だった可能性が高いといえます。
その件については昔の声優個人スレッドの過去ログ(ラブライブよりミルキィホームズの方が有名な頃)にあるかと思います。当時見た記憶があります。
「こんな軽薄な奴と知り合いとかショックだ」とか当時から言われていました。
まあ、売れた後に交際してた当時の話を炎上しやすい形で暴露するような人間という意味でもその指摘は当たっていたといえるかもしれません。
ただ、彼の話を聞くと、当時は割と真面目に恋人として交際していたように思え、セ○レの一人とかだったとかでもおかしくなさそうな彼の人となりから考えると少し意外に思いました。
おわりに
あまり大した内容ではありませんが、騒動当時や放送当時に調べたり、考えたらすぐに大凡の結論に辿り着けるのに意外と安易に受け取って広まったガセネタや曖昧な解釈が多いので、それよりは少しは真面目に調べて考えてみた記録としてまとめました。
ただ、数年前なら比較的容易に調べることができたものの2020年現在では調べても情報があまり見つからなくなってしまったような項目もあり、実際に殆どの基礎知識は今調べたというよりは当時の記憶を土台にしているので、備忘録として残しておこうかと思います。
1度誤字脱字、細部表現を修正・加筆