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多分アイドルアニメとか

ラブライブ!原案簡易考察~School idol diary コミカライズ~

 私はラブライブ!の原案設定、アニメ以前の姿が好きでした。原案設定、アニメ以前の設定や作品展開はアニメ以後のそれとは全く別物であり、キャラクター1人を見ても別人としか言い表せないほどに差が大きいのです。

…それ以降を語るととても長くなるので、とりあえずは省略しておいていきなり本題に入ることとします。

 

SIDコミカライズの欠陥

メディアミックス作品『ラブライブ!』には、原案を担当する公野櫻子先生が執筆する小説版こと「School idol diary」{略称(通称)「SID」}があります。比較的原案設定に近いキャラクター設定・性格が反映されており、初期設定ファンにも概ね好評なことの多い小説版ですが、漫画版(作画担当:おだまさる)には重大な欠陥が存在します。

…と偉そうに語ってみましたが、私はサンプルとしてネットでも無料配信されている第1話しか読んでいません。

最初はG'sコミック本誌を購入して読んだのですが、その1話からいきなりの内容の酷さにショックを受けて捨ててしまい、ただでさえラブライブ!というシリーズに失望していた中でその仕打ちを受けて失望が深まり、その後その漫画もその雑誌も読むことはありませんでした。鴇田アルミ先生作画の漫画は単行本で追うつもりですが。(5巻以降出るのか…?)

公野櫻子本人が執筆したSIDを元に描かれたコミカライズ、漫画版作品なのだから、当然公野櫻子による世界観とキャラクター設定を遵守しているべきであるのに対し、この作品はキャラクターの性格、挙動などがアニメ設定に寄せられてしまっています。つまり原作であるSIDとは別人として描かれてしまっているのです。

SIDの内容・描写を愛していた故にそのコミカライズ、漫画化を喜んだ立場からすると許し難いのです。作画担当おだまさる氏のせいなのか、編集部のせいなのか、誰のせいなのかはっきりとは分かりませんが、私にとってはとてもショックなのでした。

 

原案とアニメ以後の間で最もキャラクター性格・設定において差異の大きいキャラクター

ラブライブ!の中でも矢澤にこというキャラクターは原案とアニメ系媒体では大きく性格・設定に差があるキャラクターで、最も差異の大きなキャラといっていいくらいです。アニメの脚本家・花田氏も「にこと希のキャラ、監督に言われた方向で話作るのに面倒なんで変えさせてもらったわwwwww」って某雑誌のインタビューで仰ってました。

また、その某雑誌では原案公野先生のインタビューもあったのですが、SID執筆にあたって「アニメのにこのキャラはおかしなところが強調されすぎているから、そうでない可愛いにこを書きたい」という普段苦言らしいこと全く言わないような人なのにやんわり苦言を呈するようなことを仰っていて、アニメの矢澤にこというキャラと花田十輝氏の問題児っぷりがうかがえます。

そして今回、取り上げるSIDコミカライズ1話でも原作レイプ、キャラ改悪の被害者となっているのがその矢澤にこなのです。

 

それでは、その具体的説明に入ります。

comic-walker.com

上記のリンクでSIDコミカライズの第1話を読むことができるので、それを参考に見て行きたいと思います。

 

まず10ページ。

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 このアイドルの撮影会について、にこが説明していく部分は原作のSID(穂乃果)には具体的にはない部分です。つまり、原作公野櫻子による台詞や描写ではありません。

原作では穂乃果の一人称形式であり、「アイドル撮影会とはニコちゃんによると~ってことなんだって」みたいな感じに説明をされた経緯を説明するだけで終わっています。そこの部分をコミカライズにおいては掻い摘まずイベントとして展開させているわけなのですが…、その描写、台詞が問題なのです。

上記の漫画おいて「常識よ!」というのはにこの台詞なのですが、公野櫻子SIDのにこは「常識よ!」なんて言い方はしません。「そんなの常識だよ~」とか「常識ニコ」「常識ニコよ」とかそういうあたりの台詞に落ち着きます。

「~よ!」みたいな強めの女性言葉はアニメにこの口調・性格の特徴で、SIDにこ、原案にこはそういう言葉を使いません。

つまり、SIDを原作としたコミカライズでありながらキャラクター性格設定がSIDのものではなく、アニメを意識してしまっていることを表しています。簡単にいえば原作軽視、原作レイプなのです。

【まとめ】

×「常識よ!」

「常識だよ」or「常識ニコ」or「常識ニコよ」 語尾に「!」「♪」「☆」「♡」など場合によって使い分けたりノリで使い分けたり。「常識だよ~?」とかもあり

 

 

また、上記の絵のようなむすっとした顔で説明したりはしません。アイドル知識、アイドル理論をひけらかす時は得意気な顔だったり、アイドルスマイルを維持したまま行うのが公野櫻子描写によるにこの性格・設定です。

ところが、このアイドルとしての自分のあり方を忘れている、プロ意識の低さと可愛げのなさに溢れたむすっとした表情はアニメ時空のものとしか思えないのです。

 

 

さらに13ページ。

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引き続き原作には具体的描写や台詞のない所が多いシーンですが、

「あんたにも言ってるの!!はにこの台詞です。

これも SIDのにこなら言わない台詞であり、SIDのにこが言うとしたら、まずメンバーや誰か自分以外の人間のことを「あんた」とは呼びません。その時点で大間違いで、著者が想定しているのがアニメ時空のものだということを示しています。

SIDのにこなら「あなた」とか、メンバーであればこの場合穂乃果に対してなので「穂乃果ちゃん」と呼びます。

SIDは原案者・公野櫻子の作とはいえ所詮アニメ以降に執筆された作品なのでアニメに影響を受けており多少ブレる時もなくはないのですが、原案のにこならまず「言ってるの!!とは言いません。「言ってるんだよ!」「言ってるにこ!」という形で多少可愛い感じにクッションが置かれる言葉遣いになります。

「よくいるでしょ」は無視してもいいのですが、これもこれまでの言葉遣いのミスや表情の悪さが響いて高圧的な言い方に感じます。

アニメにこだと「よくいるでしょ↓(中低音)原案にこなら「よくいるでしょ?↑(高音)になるでしょう。

また、最後のコマの「見えるかってことよ!」という言葉遣いもアニメ時空のものです。

SIDのにこなら「見えるかってことにこ」「ことだよ」といった言葉遣いになります。

【まとめ】

×「あんたにも言ってるの!!

「穂乃果ちゃんにも言ってるんだよ?」or「穂乃果ちゃんにも言ってるニコ!」or「穂乃果ちゃんにも言ってるニコよ?」

×「見えるかってことよ!」

「見えるかってことニコor「見えるかってことだよ

 

また、つまり以降を説明する際の表情にもケチがつきます。SIDにこ、原案にこは、このようなただ偉そうな無愛想な表情はしないタイプのキャラで、得意気な顔をするか、何らかの種類の笑顔を浮かべつつの説明になります。メンバーの中でも最も余裕を持ってるキャラの1人であり、メンバーの中で最も余裕がないアニメ時空のにことは似ても似つくことのない別物なのです。

 

ついでに16ページ。

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 この表情も素でも基本アイドルらしい表情、仕草を崩すことのないSIDにこ・原案にこならしないアイドルらしからぬ表情で、アニメにこがよくする系統の表情です。作画担当がアニメ時空を強く意識していることが分かります。

 

 キャラクターも物語も何も感じない考えない人にとっては、何を細かいことをと思うかもしれませんが、全然細かくない所なのです。あまりに大きすぎます。

アニメだけならまだ少しは詭弁が通りかける時もあります。あーアニメは全く関係がない別物なんだもんなー原作矢立肇(笑)だもんなあ、と。

しかし公野櫻子執筆のSIDを原作として作られた漫画版SIDでこれをやられてしまっては何をどう考えても筋が通る気がしません。

SIDコミカライズが好評なことも知ってますが絵がTVアニメ以降の室田氏の絵に似てることで持て囃されているだけなので、あまり参考にはなりません。

個人的にはTVアニメ以降の室田氏の絵はアニメ設定由来の性格の悪さがキャラクターデザインににじみ出ていて嫌いですし原案レイプなので絵柄も減点ポイントです。

漫画の方が分かりやすくて読みやすいのは分かりますが、School idol diaryの内容が好きな人は内容が異なるのでコミカライズ版ではなく原作の小説版の方を読んでほしいなと思うのでした。