ラブライブ! 2期4話「宇宙No.1アイドル」とglee 2期19話「うわさの真相」比較
京極尚彦監督・花田十輝脚本のTVアニメ版ラブライブ!において有名な盗作オマージュの詳細について最も有名なのは2期6話ですが、そこは話題になった当時、かなり調べられ比較されているので説明不要かと思います。
他にも盗作が元になっていると指摘されている回は多数あるのですが、ここでは個人的に最も納得ができない2期4話の元ネタについて特に考えていきます。
アニメ版ラブライブの2期4話は、にこと妹や弟が出てくる話です。あらすじを軽くおさらいしておきます。
ラブライブ!2期4話「宇宙No.1アイドル」
地区予選を突破し、ますます気合いが入るμ’sメンバー達。そんな時ににこが練習に参加せず急いで帰宅する姿に、メンバー達はスキャンダルの臭いを感じて不審に思い、にこを尾行することに。
にこを尾行している内にメンバー達はにこの家の近くでにこの妹弟に会う。
にこの家で話を聞いてみると、実は親が出張ということでにこは妹弟の面倒を見るために練習を休んでいたということだった。それと同時に、にこが妹弟に「自分以外はμ'sのバックダンサーだ」と嘘を教えていたことや、写真を加工してセンターを自分にしていることなども発覚。
それらに怒ったメンバー達はにこを責め立てる。
メンバー達は、妹弟に対し、本当のことをにこに自ら説明させるために、妹弟を招待した最初で最後のにこソロライブを開催し、そこでにこはメンバーとグループへの忠誠を改めて誓わされるのだった。
(…ソロライブというが当番回でありながらライブシーンはなく、即エンディングに入ってしまい一応の晴れ舞台の描写は無い。ただの道化として扱われるいつものパターン。)
(その上で2期6話の性格悪く感じさせるための盗作台詞を言う役も与えられ、アニメ2期以降においてこのキャラは晴れ舞台は与えられずスタッフの陰湿な虐めと弄りの玩具にする対象であることが分かる。
また、似たようなキャラ弄りを用いてもその後ライブシーンでの晴れ舞台やフォロー回が用意されるプリパラなどの作品とは、全く描写の意味も価値も違う。)
この話の元ネタになっているのはglee 2期19話「うわさの真相」と思われます。
酷似する点や、どうせならそのままパクっておけば多少いい話っぽくなっていたでしょうに何故かことごとく悪い方向にばかりずらして元ネタにしたと思われる理解不能な点が存在します。
また、ラブライブのアニメ版では本来男兄弟がいるキャラの兄弟を全て削除改変してまで、男兄弟という存在をタブー扱いにしています。
一方でにこというキャラクターは原案や他媒体では兄弟設定が謎の状態か、双子の妹のみという設定となっています。しかし、そのにこに対してだけ何故か男兄弟を新たに付け足しています。
その理由はにこの声優に一人4役をやらせたかったお遊びまたは先述のような理由*1の悪意からであると推測できますが、その点についても比較するとこの回の元ネタとなっているgleeの影響であり、元ネタ回におけるにこの立ち位置にあるキャラクターに弟と妹がいるからという理由の単なる気まぐれなキャラ弄り・キャラ歪めと悪意の餌食にされた結果だったと分かります。
元ネタ回のあらすじ詳細は参考URL*2で詳しくまとめられているので本編視聴環境がない場合はまずはそれを見ながら考えたらいいと思います。
http://blog.goo.ne.jp/ralphin/e/6faed78d9259e161bd968adb01335ed8
※ちなみに筆者は個人的に気になったので当時Amazonプライムで見放題だったgleeの盗作元ネタ回を見ました。
アニメラブライブと違ってgleeは様々な話が同時に進行するので、該当話全体から見たら盗作該当シーンは多くありません。ただ、ラブライブ2期4話の話は全体的にglee2期19話の一部かつ中核の話を元ネタに、薄く伸ばして広げたようなものとなっています。
その該当部分に絞ってまとめてみますと、以下の通りになります。
glee 2期19話「うわさの真相」
※一応説明しますと、サムという男とその弟妹の立ち位置が、ラブライブ2期4話のにことその妹弟にあたります。
サムがクインやカートとモーテルでの密会、浮気をしているという噂を聞いたグリー部員達はサムを不審に思い、尾行する。その結果、サムは部員達に責め立てられて、真相を告白する。
実はサムの父が失業してしまったことで生活に困窮したため、サムと家族(弟妹)はモーテルで暮らしていたのだった。
クインやカートがそのモーテルを訪れていたのはサムの家族の世話をしたり、古着を与えるためだった。クイン(女性)はサムと同じ教会に通う仲だったために生活状況を知っており浮気ではなく、同時に妹の遊び相手をしてもらうためもあって同じ女性のクインに来てもらっていたということだった。
そのモーテルに行くと、所持品の殆どは売って金にした後であった。大事なギターまでも売ってしまっていたサムは退部について相談する。
しかし部員達はサムのギターを質屋から買い戻したのを見せ、協力するから辞めちゃダメだと説得。「サムが(部に)必要」ということと「サムには音楽が必要」ということを伝える。
サムは素直に涙を流して感謝する。
その後、サムは弟妹を講堂に招待。買い戻してもらったギターを演奏しながら、弟妹たちも含めた皆で共に歌い、励まし合うのだった。
以上のように、どうせならそのままパクるか、同じ方向性の話にできれば面白い話にできたでしょうし、キャラの魅力も引き立てることができたことが分かります。
比較すればするほどこれを元ネタにしながら、あんな悪意とフザケに満ちたクソ回を作る意味が理解できません。
一部のキャラに対する悪意*3に満ちた改悪といえます。
仮に筆者がオマージュ前提でなぞるとしたら、まず弟を付け足しません。下の兄弟姉妹を出すにしても、人気設定となっていた小説版*4そのままの妹達を出すだけでいいでしょう。(アニメでは妹達の性格や外見も姉同様に改悪されています)
元ネタそのままの貧乏&親失業設定にすると作品自体のテーマが大きく変わってしまうので、そこに関して親の出張という落としどころは許容範囲といえるところかもしれません。
ただ、その際にそのことをメンバーの誰もが知らないのではなく、メンバーの一部が知っていて、何人かが何故かにこと一緒に練習をしないで帰る約束をしていることから話を発展させたりしたら、百合好きが多いアニメラブライバー達だって喜んだことでしょう。
それこそ彼らがわけもわかってないくせに大好きなにこまき描写を取り入れたら良かったのではないでしょうか。
そうするとして、その描写だけでも大別して2パターンあります。
- まず真姫がにこの秘密を知ってて妹達の世話で帯同するパターン。
- もう一つは真姫は知らないが他のメンバーが知っていて、なんでにこは自分に教えてくれなかったんだと嫉妬するパターン。
どちらにしても軽度の百合好き、ある意味重度の百合好きがそれなりに好意的に受け取るには十分でしょう。
前者は二人のつながりを感じられますし、後者は真姫のにこへの思いが伝わります。…という風に多分ラブライバーや百合豚は都合よく大げさに受け取ります。
また、小説*5でいち早くにこの妹の存在を知った2年生組、中でもにこの妹の可愛さにメロメロだったことりや、格好良くて優しいお姉さんらしさを発揮していた海未あたりが帯同メンバーだとまた違った意味で見せ場のある描写になってもいたかもしれません。
そうした上で、妹の世話のことで当分フルでの練習参加が難しいことを告げるにこに対して、じゃあその期間は妹ちゃん達も一緒に練習に連れてくればいいじゃん、とかいう流れにし、一緒に歌って踊る話にすれば丸くおさまります。ママライブ(激寒)になぞらえたら妹ライブでイモライブですね()。
このように、そういう方向の話は当然公野櫻子原案やそれに比較的近い漫画*6やSID*7を元にしてもできるわけで、元々人気もあったにこのキャラ改悪はどこまで考えても意味不明です。
実際のラブライブ2期4話のようなクズみたいなネタ扱い、2期6話のようなすぐに憎まれ口を叩く馬鹿みたいな扱いをするにはあのアニメのようなキャラへ改悪するしかなかったということなんでしょうが、キャラ改悪にしても、プロット改悪にしても全くその必要性が分かりません。
萌えアニメとして見ても面白くかつ可愛くできた話を何故、一人のキャラクターを貶めネタにする方向にしか料理できなかったんでしょう。
先述のスタッフ陣がにこを嫌いだから、またはあの原案のキャラを操る能力がなくて面倒臭いから*8といった理論以外では理解しがたく、そう考えると下敷きにした良作*9の元ネタがあるのに、全く下敷きの良さが伝わらない狂った話になってしまった理由も少しは理解しやすくなりますが…。
仮に、純粋にいい話を作ろうとして試行錯誤した結果奇跡的にできてしまったのがあれだとしたら、本当に信じられないほど話を作る才能、キャラを理解する才能がないというか、そんな人達がまともに同じ娑婆で生きていると思ったら怖くなるくらい頭がおかしい人だということになるので、京極氏や花田氏、またはその上の運営やスポンサーの人たちのためにも、逆にそれは否定してあげた方がいいような気がします。実際はその可能性が割と高いのが恐ろしいですが
まとめると
TVアニメ版ラブライブ!が外部から盗作ネタを持ち込む必要の全くない作品で盗作をしたことは、原案者&原案作品側(とそのファン)にとても失礼で、当然糾弾されるべきことですが、盗作だから/盗作疑惑があるから悪いというだけではなく、盗作オマージュした上でまるで元ネタも絶望的につまらないかのような改悪プロットに仕立て上げたことも盗作元に失礼であり、盗作扱いだろうとオマージュ扱いだろうと許される価値が無い最悪のキャラと世界観を作り上げてしまっているという話でした。